テーマはちょっとダークだけれど、ゲームとしては要素がたくさんあり、重ゲー・スキーとしてはとても楽しめる、「ユーフォリア」というゲームを紹介します。
- リリース年:2013年
- プレイ人数:2人~6人
- プレイ時間:60分
ゲームのテーマと勝利条件
ゲームのテーマはディストピアの発展に寄与してポイントを得るというちょっとダークな設定です。ディストピアと言ってもヒャッハーな世界と言うより、ジョージ・オーウェルの小説「1984年」のような超管理社会という設定のようですが。「ユーフォリア」はイタリア語で「幸福感」を意味するらしいです。
この世界には、「ユーフォリア(Euphoria)」「ウェイストランド(Wastelands)」「サブテラ(Subterra)」「イカロス(Icarus)」の4つの勢力があり、互いにいがみ合っています。プレイヤーはこれら勢力の拡大に乗っかって資源やアーティファクトを集め、貢献ポイントである権利トークンを得ていきます。
勝利条件は権利トークンを10ポイント集めた人が勝ちです。10ポイント集めた時点で終了ですので、完全な早い者勝ち。明確で良いですね。
ゲームの特長
ワーカー
このゲームは基本ワーカープレイスメントに分類されるものと思いますが、ワーカーの扱いが非常に特徴的です。
ワーカーはダイスで、最初は2個最大で4個まで増やせます。手元に戻るときにロールし、その目を変えないで使用します。
ダイスの目はワーカの知識を表していて、大きな目であれば資源がたくさん取れたりするけれど、ベースの知識が増えていって、保持しているダイス目の合計が16以上になるとワーカー(ダイス)を1個失わなければなりません。
なのでやみくもにダイスを増やすことはできません。
手番はダイスを1個を様々なアクションエリアに置くか、置いたダイスを好きな個数手元に戻すかの2種類です。手元にあるダイスを使い切ってしまうと、次のターンはダイスを戻すアクションしか出来ません。
配置の時、手元に同じ目のダイスが2個あると、1手番でその2個を配置できます。これは非常に強力なアドバンテージです。
アクションエリアの特長
ワーカーを置いてアクションをするエリアも特長的です。ワーカープレイスメントなのに他プレイヤーに先に置かれても置けなくなるエリアは殆どありません。アクションエリアは大まかに以下の3種類あります。
①共同作業スペース(複数配置可能)
資源を収集するエリアでは、別のワーカが置いてあっても配置可能です。むしろ別のワーカーがあるほうが収集量は増えます。このエリアはプレイヤーがワーカーを意識的に手元に戻さない限り戻ってきません。
②一時作業スペース(単数配置追い出し可能)
資源を変換するエリアなどでは、ワーカーは1個しか置けません。ただし後続のプレイヤーは配置済みのダイスを追い出して置くことができます。追い出されたワーカーダイスはプレイヤーの手元に戻ります。
③固定作業エリア(単数配置追い出し不可)
施設建設のためのエリアはコマごとに単数配置で追い出すことはできません(早い者勝ち)。これだけはこのゲームでは特殊なエリアです。
上記のどのエリアも置いたプレイヤーが意識的にダイスを戻すことは可能です。
ゲームの要素
プレイヤーの属性
プレイヤーの属性は2種類あります。
①知識
知識はたくさん資源を取った時とかに増えます。手元のダイスの目の合計とこの知識の値を足して16以上になると、ダイスを1個捨てなくてはなりません。
②モラル
ダイスの回収時などに上下します。モラルが上がると遺物カードの保持可能枚数が増えます。
勢力トラック
各勢力ごとに勢力トラックが有り、ゲームボード上で勢力を上げるアクションが実行されることによりその勢力のレベルが上がっていきます。レベルが上がることによりその勢力に特典が増えていきます。
- レベル2以上 資源収集エリアでもらえる資源が増える。
- レベル5以上 トンネル掘りで資源と遺物カード両方もらえる。
- レベル8以上 2枚目以降の人材が使用可能になる。
- レベル10 人材毎に1権利トークン得る。
人材カード
人材はプレイヤーにいくばくかの利益を与えてくれるお助けカード。かれらは4つの勢力のいずれかに属しています。最初は1枚ですが、ゲーム途中で2枚使用可能になり、最大3枚使用可能となります。
遺物カード(アーティファクト)
RPGのアーティファクトと違ってどう見てもガラクタ(眼鏡、ぬいぐるみ、バットなど)ですが、この世界ではもう手に入らなくなったものということでしょうか。遺物カードは何枚かで権利トークンに変換できます。というかゲームではそのためのもの。
ゲームの進め方
主な権利トークンの取得方法は以下の通りです。
- ①資源やアーティファクトを集めて権利トークンに変換。
- ②施設の建設に参加して権利トークンを得る。
- ③勢力のレベルが最大になると、その勢力の人材1人につき1ポイント。
手番では、エリアにダイスを置いて、その欄のアクションを行うか、ダイスを回収するかです。置くエリアは結構種類があって、以下のように大別されます。以下のエリアでのアクションを組み合わせて、とにかく10個の権利トークンを早く集めた人が勝ちです。
- ①資源収集エリア
- ②資源変換エリア
- ③施設建築エリア
- ④トンネル建設エリア
- ⑤ワーカー追加エリア
①資源収集エリア
勢力ごとに資源収集エリアがあり、その勢力の産出物を取得できます。資源収集エリアでは何個もダイスを置くことができます。以前に置いてあるダイスの目も合計してもらえる資源数が決まります。多くなるともらえる資源が増えますが、知識も上がってしまいます。
②資源変換エリア
以下のような変換ができます。
- 資源→資源、遺物カード
- 資源、遺物カード→権利トークン
権利トークンへの変換は総数が決まっていて早い者勝ち、同じプレイヤーが同じ変換を複数回やっても構いません。これは勝利へのメインとなるアクションです。アクションエリアは単独配置追い出し可能エリアです。
③施設建築エリア
施設建築エリアでは、必要な資源を使ってダイスが4個置かれると施設が完成し、ダイスを置いたプレイヤーは権利トークンを1個もらえます。ですが、完成までは何の効果もなく無駄置きになります。とは言え、自分が置く前に完成してしまうとペナルティがあるので、置くタイミングが非常に重要です。アクションエリアは単独配置追い出し不可エリアです。
④トンネル建設エリア
トンネルを掘るたびに、遺物カードがもらえます。とは言えちょっと効率が悪いので、行くかどうかは迷われるところ。トンネルが完成すると、収集できる資源が増えます。
⑤ワーカー追加エリア
ワーカー追加エリアにダイスを置くと、追加のダイスが手元に来ます。
ゲームをやってみた感じ
ワーカープレイスメントながら、拡大再生産系ではないので、最適解とか定石が見えづらい、若干とっつきにくいところはある感じです。
通常のワーカープレイスメントでしたら大抵先に他のプレイヤーがワーカーを置いた場所は使えないものですが、このゲームは殆どの場所は追い出し可能なので、資源さえあればやりたいアクションができないということはまずありません。
とは言え、追い出すとそのダイスが所有者の手元に戻って再使用可能となり、そのプレイヤーを利することにもなりますので、好きなことばかりやっていれば良いというものでもなく、結構他のプレイヤーの進み具合と自分の手番の効率などを悩ましく比べながらプレイする感じです。
基本は資源を効率的に集め、資源変換を効率的にやってポイントを稼ぐゲームですが、ソロゲーム的になるところは殆どなく、常に他プレイヤーの動向が気になるゲームです。そのようなゲームが好きな方には面白いかと思います。
ゲームではダイスのゾロ目があることが超強力です。基本は1手1手ですから、ある程度他のプレイヤーの動向は読めてくるのですが、それがゾロ目で2手番一気に実行されることにより、完全に覆されます。
運要素の少ないこのゲームにこの仕組みを入れることにより大変奥深いものになっていると思います。