西暦850年のヨーロッパの中世を舞台にしたゲームです。西王国はカール大帝で有名なカロリング帝国の末期に分裂してできた3つの王国の内の、西フランク王国(後のフランス)と思われます。
ゲームでは、この時代の建築家となり、大聖堂の建築に加わったり色々な建物を建てて勝利点を競います。
とは言え、この時代、現代とは結構異なっていて、ゲームでのアクションもこんなことをしてよいのかなと言うのが結構あったりなど、並みのワーカープレイスメントゲームとは一味違ったものになっています。
- 発売年:2018年
- プレイ人数:1人~5人
- プレイ時間:60分~80分
ゲームの特長
ゲームの概観
ワーカープレイスメントの基本通り、ワーカーを使って資源を集め、その資源を使って建物を建てると言う筋は通っています。これを支援してくれる人を雇って効率よく進めて行くと言うのも、よくあるところ。
でも、通常のワーカープレイスメントゲームでは、最初ワーカーが2人か3人で、徐々に増えていくと言うのが一般的ですが、このゲーム最初20人のワーカーを持ちます。このワーカーを配置してアクションを進めますが、ターンの概念は無く基本ワーカーは戻ってきません。

基本、エリアには何人もワーカを置けて、置けば置くほどアクションが強くなったり、アクション回数が増えたりします。しかし、置きすぎると他プレイヤーに狙われて....(ここがミソ)。
最終的には、建てた建物による勝利点と後に記述する徳の点数がメインで勝者が決まります。
VIRTUE(徳)
このゲームのポイントの一つです。
大聖堂の建築に参加するとか国王に資材を献上するなど国に貢献するとレベルが上がります。逆に税務署から金をかっぱらったり、ブラックマーケットに行くなど犯罪的なことをすると下がります。
徳が高いとゲーム終了時にプラス勝利点(最大7点)、低いとマイナス勝利点(最悪-9点)になるので結構得点源としても大きいです。
アクションの種類
MINES(鉱山)、QUARRY(採石場)、FOREST(森)、SLIVERSMITH(銀貨加工所)
資源収集出来る場所です。鉱山ではCLAY(粘土)かGOLD(金)が、採石場ではSTONE(石材)が、森ではWOOD(木材)が、銀貨加工所ではSILVER(銀貨)が得られます。
その場所に置いたワーカーが多くなると、得られる資源も多くなります。例えば、採石場でしたら、1人目配置→石材1個、2人目配置→石材2個、3人目配置→石材3個、、、と言う具合です。
WORKSHOP(ワークショップ)
銀貨を払ってAPPRENTICE(見習い)のカードを雇ったり、BULDING(建物)カードを山から引いたりすることができます。
見習いは色々な能力を持っていて、様々なアクションの中で助けてくれるカードです。5人までしか雇えません
建物カードは、コストを払って場に出すと得点になります。このゲームの主なる得点源です。
KING'S STOREHOUSE(国王の倉庫)
資源を交換したり、資源を国王に献上して徳を上げられます。
2個の粘土/石材/木材を献上すると徳が1段上昇します。3個の石材/木材を大理石1個に交換できます。
配置する人を増やすことに実行する回数が増えます。1人目→1回実行。2人目→2回実行....
希少資源の金は鉱山で取れますが、大理石はこことブラックマーケットでしか手に入りません。正規に行くならここで手に入れるしかありません。
GULIDHALL(ギルドホール)
ギルドホールにワーカーを置くと建設のアクションが実行できます。建設は大聖堂の建設と手札の建物カードの建設の2種類あります。
このゲームの目標となるアクションです。これがこのゲームの主な得点源となります。
使用したワーカーは戻ってきません。このアクションに既定のワーカー(5人ゲームでは30人、4人ゲームでは24人)が投入されると、ゲーム終了がトリガーされます。
①CATHEDRAL(大聖堂)の建設
大聖堂の建設に参画します。実行するとき、建築カード1枚と指定の資源の消費が必要となります。
実行すると、大聖堂建設貢献レベルが1段上がり、徳1段アップと何らかの資源の褒美があります。最終的にレベルにより勝利点が得られます。
徳の低い人(≦4)は大聖堂の建築に参加できません。
②BUILDING(建物)の建設
手札の建物カードを、建設コストを払って場に出します。
建設カードは個々に勝利点を持ちますが、加えて場に出した瞬間に発生する効果と、ゲーム終了時に発生する効果を持ちます。
TAX STNAND(税務署)
ワーカーを配置するとその時点で税務署に溜まっている銀貨をかっぱらえます。やっちゃいけない行為ですから徳が2段も下がります。でも捕まるわけではありません。いいのか。。。
ここは人が増えても特に意味がありません。やった後はちょっと無駄な配置になります。まあそれもマイナスポイント。
BLACK MARKET(ブラックマーケット)
非正規に、物を買ったり、見習いを雇ったりなどできます。実行すると徳が1段下がります。まあ非正規ですしね。
徳の高い人(≧10)はブラックマーケットに行けません。
3カ所あって1カ所にはワーカーが1人しか置けません。置いたら取っ捕まるまでそこにいます(なんじゃそれ)。
マーケットが3カ所一杯になると当局の取り締まりが来て、ワーカーが捕まって牢屋に入れられます(笑)。
- 小市場から、大理石や金の希少資源が2個手に入ります。
- 好きなところから見習いをタダで雇用できます。あるいは、建築カードを5枚引いて選んで1枚手札に入れられます。
- 大市場から、大理石や金の希少資源2個を含む4資源が手に入ります。
ブラックマーケットから刑務所にワーカーが送られた時に、牢屋にいるワーカーの数によってペナルティが発生します。
ワーカー3人ごとに徳1レベルダウン。最もワーカーが多いプレイヤーは借金カード(ゲーム終了時までに返さないと-2勝利点)を受けます。
このように、ブラックマーケットでは手軽に希少資源が手に入るのですが、結構ペナルティも大きいです。
TOWNCENTRE(タウンセンター)
タウンセンターには地元民がいて、各エリア(建設現場とブラックマーケットを除く)にいるワーカーをとっ捕まえてきてくれます。
自分のワーカーは自分のプールに戻りますが。他のプレイヤーのワーカーは人質になります(ヒドッ)。
人質は刑務所に1人1銀貨で売っぱらえます(ヒドッ)。
これ結構な収入源になります。銀貨加工所に行くよりはるかに効率的。中盤に金がなくなると結構みんながこれを狙いに来ます。1か所に3人以上置いているともうねらい目ですね。
これが無いとワーカーの再利用ができないので、必要な機能ではありますが、せっかく人を集めて大量の資源が取れるようなところで、他プレイヤーに攫われると、がっかり感は半端ないです。
GUARDHOUSE(刑務所)
ブラックマーケットで捕まったワーカーや他プレイヤーに売られたワーカーは刑務所の牢屋に入れられます。
刑務所に人を配置すれば以下のことができます。
- 無償で自分のワーカーを身請けできます。
- タウンホールで捕まえた人質を1人1銀貨で売り払えます。
- 他プレイヤーに捕まっている人質を5銀貨(内2銀貨は税金)で取り戻すことが出来ます。
- 6銀貨(内3銀貨は税金)を払って借金を返済できます。褒美として徳が1段上がります。
ポイント
このように、タウンセンターと刑務所によりワーカーの再利用が出来ます。これが無ければ初期のワーカーを全部置いて終了というなんとも淡泊なものになってしまいますが、この仕組みにより他のプレイヤーとの絡みが一気に増え、駆け引きの要素もたっぷりな、非常に緊張感のあるゲームに変貌します。
殺伐とした再利用の仕組みですが、中世だから仕方がないよねw
建築家
このゲームではプレイヤーは建築家となるのですが、その建築家は5人いてそれぞれ能力や初期状態が違います。
建築家ごとの初期状態は以下の通り。
名前 | 所持金 | 徳 | 資源 | 牢屋 | その他 |
Ada(エイダ) | 0 | 11 | 金1 | 0人 | 建物カード1 |
Rudolf(ルードルフ) | 3 | 9 | 木材1 | 0人 | |
Frederick(フレデリック) | 4 | 7 | 石材1 | 0人 | |
Therese(テレーゼ) | 5 | 5 | 4人 | 建物カード1 | |
Caroline(キャロライン) | 10 | 3 | 大理石1 | 8人 | 借金カード1 |
エイダとキャロラインでは、開始時9点の勝利点ハンデがあります。所持金差が10銀貨でも、これでバランスが取れているのかなあ。プレイではキャロラインはみんな苦戦していました。
やってみて
ちょっとダークなところが面白いです。
ワーカーは置けば置くほどアクションが強くなるのでなるべく大勢が配置できるようになりますが、そうすると他プレイヤーから狙われて攫われてしまいます。
折角4人置いたのに攫われてまた1人から始めなければならないとか、がっかり感が半端じゃないです。
ゲームでは3人になったら狙われ始めたので、この辺りがうまいゲームの抑えになっているかと思います。
中盤から、銀貨を稼ぐ最も楽な方法が他プレイヤーのワーカーを捕まえることになります。
このアクションがあるので、銀貨加工所にワーカーを置いてちんたら銀貨を集めると言う気にはならなくなってきます。なんと背徳的なゲームですかね(笑)
背徳的とは言え、背徳プレイは結構難しいです。
ブラックマーケットで資源を集めたり、税務署から銀貨を盗むのは結構効率が良いので、それを駆使すればゲームを有利に進められると思ってやってみたのですが、これらの徳のペナルティは予想以上に厳しいです。
徳が下がること自体が勝利点マイナスの上、0になってしまうと次からはー2点の借金カードを受けることになり、これをゲーム終了までに戻すのは並大抵ではありません。
これはこのゲームの罠ですかね。やはりまっとうに生きるのが良いということで。。。

つらつら書きましたが、自分にとって結構好みであることは間違いありません。