- リリース年:2011年
- プレイ人数:3人~6人(最適6人)
- プレイ時間:120分~240分
緊迫感たっぷりの戦争ゲーム、A Game of Thronesを紹介します。
ゲームの外観
A Game of Thronesはジョージ・R・R・マーティンのファンタジー小説「氷と炎の歌(A Song of Ice and Fire)」をモチーフにした戦争ゲームで、その第一部の題名である「七王国の玉座(A Game of Thrones)」がゲームの題名になっています。また「氷と炎の歌」はA Game of Thronesという題名でアメリカのTVシリーズにもなっており、現在、シーズン1~7までリリースされています。
七王国とは言いつつも、小説(TV)では、以下の9つの名家(House)が出てきます。王国でなく名家となっているのは、かつて独立王国だったものが300年位前に征服されて統一王朝となったためです。日本で例えると、幕府に対する大名という感じでしょうか。ただ現在はいろいろあって戦国時代のようになってる感じかと。
ゲームでは領地の位置の関係と思われますが、以下の6名家を各プレイヤーが担当することになります。
- ①スターク家(紋章:白地に灰色狼)
- ②グレイジョイ家(紋章:黒地にクラーケン)
- ③ラニスター家(紋章:赤地に黄金のライオン)
- ④タイレル家(紋章:緑地に金の薔薇)
- ⑤マーテル家(紋章:橙地に金の槍に貫かれた赤い太陽)
- ⑥バラシオン家(紋章:金色の地に王冠をかぶった黒い牡鹿)
ゲームに出てこない家としては、アリン家、タリー家、ターガリエン家があります。
原作ではドラゴンとかも出てきますが、ボードゲームの方はファンタジー色は殆どなく、ガチの陣取りを目指した戦争ゲームになっています。
ゲームは城・要塞のあるエリアを如何に多く支配するかの戦いです。城・要塞のエリアを7個支配したプレイヤーが即座に勝利します。また10ターンまで決着がつかなかったらそこで終了し、その時点で最も多くの城・要塞エリアを支配しているプレイヤーが勝利します。
ゲームの要素
マップの要素
マップには以下の3種がプリントされており、その場所を支配することにより特典が得られます。
①城・要塞
城・要塞のあるエリアの支配が勝利目標であり。これを支配しないと兵力も増えないので、最重要ポイント。ただし、城・要塞には防御力はありません。
②王冠
支配していると「統治」アクションとイベントカードで権力トークンを得ることができます。ゲームを優位に進める上では権力トークンは重要であり、城・要塞の次に狙うポイント。
③樽
樽は補給のシンボルであり、これによりユニットのスタック数が制限される。ただし、最初はユニットの数が少なく、ユニットが多くなったころには自然と支配エリアも増えているので、あまり気にしないで良い資源。
権力トークン
権力トークンはゲームを進めていく上での唯一のリソースであり、その使い道は以下の3通りあります。
①3つの勢力トラックでのセリ
各プレイヤー間の種々の順番を決める勢力トラック上での順位を権力トークンでセリます。順位が低いと結構辛いことになります。またトップは特典があるのでトップを取ることも重要です。
②異形撃退への貢献
イベントにより攻めてくる異形を撃退する貢献ポイントとして使用します。撃退すれば貢献トップが報酬を受け、撃退失敗すれば貢献ラストがペナルティを得ます。
報酬は大したことないのであまり頑張らなくても良いが、ペナルティは非常に厳しいので撃退失敗時のラストは困ります。うまくラストにならないような貢献を行って失敗させるのが吉かと。
③支配マーカー
エリアからユニットを全部移動させると、本拠地以外権力マーカーを支配マーカーとして置かないと支配できなくなります。領地を広げるためには戦力集中から置かざるを得ず、序盤はただでさえ足りないのに、使用できる権力トークンが減るのが地味に痛いですね。
3つの勢力トラック
以下のトラックで順位をセリます。セリが行われるのタイミングは特定のイベントが出た時です。(大体3ターンに1回くらいの確率です。)
①鉄の玉座:
手番の実行順番です。
トップは鉄の玉座トークンを持ちます。戦闘以外の色々な順位が同じになった時にどちらを上位にするかを決定できます。相当に強い権限です。なるべくトップを取りたいところですね。
鉄の王座:数百年前ターガリエン家が七王国を征服統一したときに敵の剣を溶かして作った王座。
②領地トラック
この順位により戦闘で同点の場合の優劣が決まります。
トップはヴァリリア剣を持ちます。ターンに一度戦闘時に戦闘力を+1できます。序盤に+1は強いが、序盤は兵数が少なくそもそも戦闘をためらわれるので微妙な権限でしょう。
ヴァリリア剣:今は滅んだ古代帝国で作られた強力な鋼の剣、今は製法が失われており諸名家の家宝。
③宮廷トラック
順位により特別アクショントークンの使用可能数が変わります。1,2位:4個、3位:2個、4位:1個、5,6位:0個。
トップは使い鴉を持ちます。アクショントークン公開後に1個未使用のトークンと交換できます。1個だけ後出し可能。あるいは異形デッキのトップ(次に来る異形)を見てボトムに移動できます。
トップに固執する必要はありませんが、これの順位をある程度上げておかないと特別アクションが使えないので結構辛いです。(5,6位は特別アクション=0)。特に統括の特別が使えないと兵が増えるのは「召集」のイベントを待たねばならないので大変辛いです。
使い鴉:この世界では通信手段に鴉が使われているようです。
ゲームの流れ
ゲームの各ターン以下の3つのフェーズから成り立ちます。
- 1.ウエスタロスフェーズ
- 2.計画フェーズ
- 3.行動フェーズ
1.ウエスタロスフェーズ
毎ターン3種類のイベントが起きます。
起きるイベントは大体以下のもの
①召集
城・要塞のあるエリアで兵の召集ができます。城で2、要塞で1の召集ポイントが発生し、召集できるのは以下の通り。1ポイントで1ポイント召集の歩兵を騎兵か攻城兵器にアップグレードできます。これが出る確率は大体30%~50%くらいですが、出ないと兵の強化が出来ず大変つらいです。みんなが待ち望むイベントです。
- 歩兵:1ポイント
- 騎兵:2ポイント
- 攻城兵器:2ポイント
- 船:1ポイント
②補給
部隊のスタック制限を見直します。例えば、樽を3個支配している場合、「3,2,2,2」。2ユニットの部隊3個まで可、3ユニットの部隊は1個だけ(1ユニットの部隊は何個でもOKです)。
ですので、このゲーム1エリアにスタックできる兵が非常に少ないゲームと言えます。序盤は殆ど問題ないですが、兵が増えてくるとスタックの管理が難しくなってきます。
③権力トークンの取得
支配している王冠のあるエリアと港の分の権力トークンが得られます。アクショントークンを早々統括ばかりには使えませんので、これは非常に有り難いイベントです。
④トラックの順位のセリ
権力トークンに余裕が有れば早くこれが来て順位を上に持って行きたいですが、逆の時は来るなと。でもせっかく頑張って良い順位を取ったのに、次のターンにまたこれが来た時の徒労感たるや。
⑤異形襲来
異形トークンが12になった時とこのイベントの時に異形が攻めてきます。各プレイヤー権力トークンを握って出し、その合計が異形のパワー以上なら撃退、未満なら敗北。撃退の場合は最も多くの権力トークンを出した者が報酬をもらい。敗北の場合は最も権力トークンを少なく出した者がペナルティを受けます。
報酬は大したことないですが、ペナルティは相当厳しいので、とにかく最下位にならないことが肝要です。
⑥アクション制限
襲撃・進軍・統括などの何らかのアクションが制限されます。統括の制限は結構辛いですね。
2.計画フェーズ
アクショントークンを裏向けですべての支配地域(海も含め)に置きます。
アクショントークンは、5種類あり、通常が各2枚。特別が各1枚あります。特別アクショントークンの使用できる枚数は、「宮廷トラック」の順位で制限されています。
①襲撃
隣のエリアのアクショントークンと相殺します。いわゆるカウンター的なトークン。カウンターできるものがないと空振りで効果なし。相殺できるのは、襲撃・支援・統治の3種。特別だと防御も相殺できます。統治を相殺すると権力トークンを奪えます。
②進軍
隣に移動します。そのエリアに敵がいたら戦闘になります。トークンにより移動によって戦闘力が増減します。特別は+1、普通は+0,-1
③防御
敵が攻めて来て防御戦闘をするときに戦闘力が上がります。普通は+1、特別は+2
④支援
隣で戦闘が起こったときに戦力を貸し与えます。1ターンに何度でもでき基本的にリスクが有りません。特別は+1の戦闘力付き。
⑤統治
エリアから王冠の数+1個の権力トークンを得ます。特別だと代わりにそのエリアに兵を召集できます。
3.行動フェーズ
アクショントークンを全て公開し、鉄の玉座の順番に1か所ずつアクションを解決していきます。まず襲撃を全て解決し、次に進軍を全て解決し、最後に統括を全て解決します。
進軍と戦闘の特長
攻城兵器と船
歩兵は1戦闘力、騎兵は2戦闘力で、まあこれは普通ですね。カギとなるのが、攻城兵器と船。
攻城兵器は城・要塞のあるエリアを攻める時には4戦闘力、それ以外は0。攻めるのは凄いけどその後全然守りに役立たないという特殊なユニット。
船は船のいるエリアを経由して地上兵を移送できます。これはよくある話ですけど、このゲーム船に搭載制限がありません。ということで船でつなげば遠方にも大部隊を移送でき上陸ハンデもないので、油断すると思ってもみない強襲を受けてしまいます。
ですので、このゲーム守るのは非常に難しく、取ったり取られたりになり易いと思われます。
家カード
また戦闘では必ず家カードというのを両者プレイする必要があります。
家カードは家ごとに7枚あり、中身は家ごとに異なっています。カードにはこの物語の登場人物が描かれており(TVでの登場人物に似せたイラストです)、戦闘力は0~4まであります。
カードは一度使うと全てのカードを使い切るまで回収できないので使いどころを考える必要があります。戦闘力の小さいものは勝利に貢献できませんが特殊能力で戦局を覆すような貢献をすることも可能です。
支援アクション
もう一つ「支援」アクションがこのゲームの重要な要素となっています。
このゲーム1つのエリアにそう多くのユニットをスタックできないのでそれだけだと単純な戦いになってしまいますが、支援が入ることにより、それをうまく使うことによって強力な攻撃や鉄壁の守りが可能となります。
各家の特長
①スターク家
最も北に位置する。他家からのプレッシャーが一番少ない位置取りです。第一次世界大戦をモチーフにしたゲームでのロシア的な位置取りでしょうか。ロシア同じように北方で土地が貧しく強化に時間がかかるのが難点かと。
ただし、後背を意識せずに攻撃できますので、序盤でうまく強化できれば船をうまく使って終盤優位を確保できると思われます。
②グレイジョイ家
隣のラニスター家と近いので、序盤でもめていると両者消耗して辛い展開になりそうです。
ラニスター家とは適当に折り合いをつけてスターク家の拡張先をフタしてしまうのが、最も拡張しやすいルートと思われます。
③ラニスター家
同じく、隣のグレイジョイ家と近いのが問題です。それに加えてどちらに拡張していくかが悩ましい位置です。
普通に考えると隣のタイレル家側ですが間のエリアが貧しいのでそちらに行く気がそがれてしまいます。豊かなのはバラシオン家の方ですがそこに全力で行くと、グレイジョイ家に後背をつかれる恐れがあり非常に悩ましいでしょう。
④タイレル家
南西の端なので、比較的プレッシャーが少ないが土地の資源も少いです。
ラニスター家の方は間のエリアが取る気がしないためすぐには行きたくないし。序盤にマーテル家に行くと資源の少ない端同士で疲弊してしまい、他のプレイヤーに置いて行かれる可能性が高くなりそうです。
ここはじっくりと、端で力を溜めた上でマーテル家を滅ぼしに行くしかないでしょうか。
⑤マーテル家
南東の端でタイレル家と同じような位置取りで資源が少ないのも同様です。
だが、こちらは隣のバラシオン家の方が非常に富んでいるので拡張するエリアがないわけではありません。当然戦いにはなりますが、方向としてはバラシオン家を狙うのが吉と思われます。
⑥バラシオン家
最も富んだエリアが多く増強がしやすい。ただし樽だけは少ないので、6家中唯一樽が気になる家です。
マーテル家とラニスター家には常に狙われているので注意が必要でしょう。少なくとも中盤以降はまず間違いなく攻められるでしょう。
とは言え、途中7エリア確保が最も可能性の高い家と思われます。