西王国を舞台としたゲーム。西王国シリーズとでも言いましょうか。それの第二弾です。
前作の「西王国の建築家」とボードの絵の雰囲気とか、カードの絵の雰囲気は非常に似ています。当然イラストレーターも同じでしょう。
しかしながら、ゲームは全く別物です。拡張でも第2版でもないです。システムも大分違います。
今回の主役はパラディンです。パラディンと言うと高潔なイメージがありますが、このゲームのパラディンはイラストからしてとても高潔に見えないし、やってることも山賊と紙一重と言う感じ。
この辺りは前作と似通っていますね。前作の建築家も税金を盗んだり、他の建築家のワーカーを誘拐したりとロクなやつではなかったですし。
これがこのシリーズの共通なコンセプトなんでしょうか。
- 発売年:2019年
- プレイ人数:1人~4人
- プレイ時間:90分~120分
ゲームの概要
パラディンというのは地方の領主くらいの感じですかね。自分の領地に、有能な部下を雇ったり、ならず者をやっつけたり、懐柔して部下にしたり、城壁を強化したり、領地の外に駐屯部隊を派遣して前哨基地を作ったり、修道士を派遣したりなど、色々やって領地のレベルを上げて行きます。
最終的にこれらのアクションで得られる名誉点が最も多いプレイヤーが勝者となります。
西王国の建築家ではアクションは共通ボードで行い、結構プレイヤー間の駆け引きがありました。と言うかメインが駆け引きでしたが、今回の西王国のパラディンでは、主体は自分の領地でのアクションになります。
図のプレイヤーボード上でアクションを行い、レベルを上げてきます。
そういう意味ではプレイヤー間の絡みが少なくなってソロプレイ感は増えているかもしれません。
とは言え、他プレイヤーに先んじて領地外の良いところを占有したり、先んじて良い部下を雇ったり、褒賞の大きなならず者をやっつけたりと、他プレイヤーの動向を見つつ出し抜いて行くことは必要です。
また、名誉点を獲得する方法は多岐に渡っています。しかもその方法が絡み合っているために、1つの方法の特化することができず、かといってどれにも手を出していると弱いアクションの段階でゲーム終了になってしまいます。
主な名誉点の確保方法は以下のとおりであり、如何にこれを効率よくやるかがポイントです。
①パラメータを向上させる
パラディンには、信仰力・攻撃力・影響力の3つのパラメータがあり、これを上げることが最も大きな名誉点となります。最大までパラメータを上げると20名誉点になり、このゲームの最も主要な得点源です。
このパラメータは、次に記すさまざまな名誉点を得るアクションを実行することにより向上します。
②得点源アクションを行う。
6種類あるこのアクション自体は即時のメリットを得るものですが、パラメータを上げるアクションであり、直接名誉点を得るアクションでもあります。
アクションを実行するためには特定のパラメータを上げる必要があり、基本同じアクションを繰り返すごとに必要となるパラメータ値は大きくなって行きます。
しかしながらそのアクションの結果として上がるパラメータは別の種類であるため、そればかり実行しようとすることはできず、複数のアクションを回していく必要があります。
③王の依頼
1~3ラウンドの間に王の依頼として3つの達成条件が表示され、ゲーム終了時にこれを満たしていたら名誉点を得ることができます。
ラウンドの流れ
ラウンドの開始時に、自分のデッキからパラディンカードを選択し、そのラウンドで有効な、パラディン能力、一時的な追加パラメータ、ワーカーを得ます。
このワーカーに酒場で徴収したワーカーを加え、それがこのラウンドの手番数となります。
ワーカーは、手番中のアクションや、市民カードの能力で増やすこともできます。
順にワーカーを使用してアクションを行い、全員がパスしたらラウンド終了です。
ゲームにおけるアクションの詳細
名誉点を得るアクションと、補助アクションがあります。プレイヤーボードの右側が名誉点のアクションで左側が補助アクションです。アクションを行うためには。指定された種類と数のワーカーを配置する必要があります。基本的に一度ワーカーを置いたアクションはそのラウンドでは再度の実行はできません。
ワーカーは、労働者・斥候・商人・戦士・聖職者・犯罪者の6種類あります。犯罪者はワイルドなワーカーなので、実質は5種類。
名誉点を得るアクション
①任命
修道士をメインボードの方に派遣します。派遣すると即時のメリットが得られますが5人以上派遣すると名誉点が得られます。最大9点。実行するためには信仰力を上げて食料を払わねばならず、実行すると影響力が上がります。
②城壁
城の城壁を強化します。5回以上強化すると名誉点が得られます。最大6点。実行するためには影響力を上げて食料を払わねばならず、実行すると攻撃力が上がります。
③駐屯
駐屯部隊をメインボードの方に派遣します。派遣すると即時のメリットが得られますが5部隊以上派遣すると名誉点が得られます。最大9点。実行するためには攻撃力を上げて食料を払わねばならず、実行すると信仰力が上がります。
④贖罪
神の許しを請います。贖罪すると即時のメリットが得られますが5回以上贖罪すると名誉点が得られます。最大6点。実行するためには影響力を上げて金を払わねばならず、実行すると信仰力が上がります。
⑤攻撃
ならず者を攻撃して殺します。これは直接の得点効果なく、これにより上がる影響力で影響力のパラメータによる得点が増えることが期待値です。実行するためには攻撃力を上げなくてはならず、実行すると影響力が上がります。
⑥改心
ならずものを改心させて自分の部下とします。実行するためには信仰力を上げて金を払わねばならず、実行すると攻撃力が上がります。これも直接の得点効果はなく、攻撃力アップによる攻撃力パラメータの得点アップに加え、ならず者は終了時の得点条件を持っていて、達成していれば名誉点が追加で得られます。
補助アクション
①開発
アクション実行に必要なワーカーの数を恒久的に減らします。これのみ名誉点アクションでもあり、6回以上開発すると名誉点が得られます。最大6点。
②狩猟
食料を得ます。
③交易
金を得ます。
④雇用
町の住民を雇用します。雇用した住民はさまざまな役に立ってくれます。
⑤祈り
一度ワーカーを置いたエリアが1カ所再度実行できるようになります。
⑥陰謀
通常のワーカーをワイルドなワーカーに変換します。
ゲームの評価
前作はアクションの殆ど全てが他プレイヤーとの絡みになるのに対して、今作は他プレイヤーと競合するところは、修道士や駐屯部隊のメインボードの設置の競争や、ならずもカードや住民カードを先取りするところくらいで、だいぶ様変わりしています。
それより、自分のプレイボードの中のアクションの絡みは非常に複雑。アクションにより必要なパラメータとアクションの結果として挙がるパラメータが異なっているため、どこに注力して進めていくか、非常に悩ましく頭を使わせるゲームとなっています。
3つあるパラメータをどう回して上げていくかが最も重要な要素でしょうか。とは言え、まんべんなく上げようとすると、とても手番が足りません。他プレイヤーの動向を見てどこに注力しどこを省くか、ワープレの王道といえば王道ですが、そのマネージメントが要求されるゲームだと思います。
複雑なもの好きで頭を悩ませるのが好きな人には、非常に好みのゲームだと思います。私もこの手は大好きですが、やると相当疲れることも確かです。
あと、ゲームとは直接関係ないですけど、このゲーム入れ物がすごく小さいです。小さいのは持ち運びが楽で良いのですけど、無理やり詰め込んだ形で、カードをスリーブに入れたりすると、ふたを閉めるのもやばい状態になります。